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第6回 「牡蠣の殻の行方」
他の二枚貝とは、形が大きく異なる牡蠣の殻。大きくて、ゴツゴツしていて、実に立派で、でもむき身にした後、あの牡蠣の殻はどうなってしまうのだろう。広島は牡蠣の生産量が日本一なら、牡蠣の殻も自ずと日本一。むき身の重量の約5倍に相当するという牡蠣の殻の行方は?そもそも牡蠣の殻に含まれる成分は、大部分が炭酸カルシウム。このほかに炭酸マグネシウムやリン酸カルシウム、コニキオリンと呼ばれる硬タンパク質が含まれています。牡蠣の殻は、かき殻粉砕業者に引き取られて乾燥・粉砕。牡蠣の殻の主成分である石灰分は、養鶏飼料や土壌改良の肥料として利用されています。飼料としては、荒砕きされたものが、産卵鶏用に利用されています。産卵鶏は、ほかの家畜に比べ多量のカルシウムを必要とするため、古くから貝殻などを与えてきたのですが、安価であることを理由に石灰石で代用されることが多いという話です。しかし牡蠣の殻は多くの微量成分を含んでいるため、とある研究によると、牡蠣の殻を与えた場合、産卵率が9%、総卵重が10%、母鶏重が2%向上しているというデータもあります。強くて、大きくて、たくましい卵と母鶏を得られることが証明されました。牡蠣の殻の可能性を感じる一方で、飼料や肥料以外にも用途はあるようですが、残念ながらすべての牡蠣の殻をリサイクルできているわけではないようです。おいしい牡蠣をつくること、おいしく牡蠣を食べること、そしてその先まで。すべてがうまく循環できればいいのですが。
第5回 「牡蠣四方山話」
料理番組でもお馴染みだった俳優の故・金子信雄さん。牡蠣についてこんなコラムを残していらっしゃいますのでご紹介を。
学生の頃、と云っても戦前の話だが、カキフライは、私にとって、安価にして且つ、滋養に富んだ最高のご馳走であった。その昔、われわれ庶民が食べる牡蠣料理と云えば、カキフライか牡蠣の土手鍋に決まっていて、その他では、せいぜいカキ酢ぐらいで、殻付きのの生牡蠣は、ホテルでの高級料理でしかなかった。私が、モロモロの牡蠣料理の味を覚えたのは、カキ船の料亭に通うようになってからである。カキ船の起こりは、広島牡蠣の宣伝のために、東京や大阪などの色街に近い河川に設けられたものと聞いたが、なかなか風情のあるものであった。勿論、川の水は、今日のように汚染されていないときの話である。座敷の床が舟床のため、川面の動きにつれて床がゆらゆらと揺れ、手に持つ盃が、かすかに波立つのが楽しかった。酒は広島の誇る安芸の銘酒である。牡蠣料理の仕上げは、牡蠣の炊き込みご飯かカキ雑炊で、かならず広島菜の漬物が添えてあった。牡蠣のシーズンが終わると、カキ船に固い錠前が取れつけられる。それが、次の牡蠣の訪れをいやましに待ち遠しいものにさせたものである。
第4回 「広島牡蠣は、海のミルク。」
牡蠣は海のミルクと呼ばれるように、とても栄養価の高い食品です。血中のコレステロール値を下げるタウリン、疲労回復や体力強化に最適なグリコーゲン、良質のタンパク質、不足がちな女性が多い鉄分などを多く含んでいます。タウリンは成人病の元凶とされる血中コレステロール値の上昇を抑え、脂肪の消化吸収を促進する効果があります。ストレスの緩和や二日酔いの予防にも効果的です。また、血圧を正常に保ち、視力を強化する作用もあります。グリコーゲンは、体内のエネルギーが不足した時に糖質に変化して血液中の糖度調節に使われます。疲労回復や体力強化に最適な栄養素です。糖尿病予防にも有効です。牡蠣に含まれるタンパク質は、8種類の必須アミノ酸をはじめ、18種類のアミノ酸を含み、卵などに劣らぬ栄養価。脂肪分も少ないので、ダイエット食品としても最適です。そして、牡蠣には鉄分も豊富なので、貧血気味の女性や、鉄分が失われやすい妊娠中や授乳期にオススメです。冷え性の改善にも効果があると言われています。このように、牡蠣はまさに完全栄養食。老若男女を問わず、多くの人に食べていただきたい牡蠣です。
第3回 「牡蠣?牡蛎?カキ?」
冬になると無性に食べたくなる牡蠣。で、この牡蠣という字について。雑誌やインターネットなどでよく見かけるのは“牡蠣”ですか、“牡蛎”ですか、それとも“カキ”ですか?単体では牡蠣だけど、前に“広島”がついたり、後ろに“鍋”がつくと“広島かき”や“かき鍋”という印象をお持ちの方もいるのでは。この牡蠣という漢字は、中国から伝わったものですが、中国ではもともと“殻付きのカキ”のことを“牡蠣”と言ったらしく、中の身のことはハオ(虫ヘンに豪)と区別していたらしいのです。“牡蠣”という漢字に含まれる“牡”という字についても、中国では牡蠣にメス(牝)はなくオス(牡)ばかりと考えられていたために間違ってつけられた名前だとか。また、カキは「嘉喜」や「賀喜」に通じることから縁起のよい料理として使われることもあるといいます。広島では、お正月の雑煮に入れる家庭も多いですが、生産量日本一という理由だけではなさそうです。名前ひとつ取っても味わい深い牡蠣。食すればさらにその美味しさに、旨い! とうなること間違いありません。あれ、“美味しい”と“旨い”、牡蠣に合うのはどちらでしょうか?お試しあれ。
第2回 「牡蠣は大水飲み」
瀬戸内海に浮かぶ牡蠣養殖の筏。その筏に吊されている牡蠣。海の中でゆっくり漂っているだけだと思ったら大間違い。1時間になんと10リットルもの水を飲んでいるというのです。牡蠣1個が通す水の量のことで、もちろん牡蠣がゴクゴク飲むわけではないのですが。10リットルといえば、大きなペットボトル5本分です。1時間で5本は飲めないですよね。そしてさらにおもしろいのが、宮島から江田島のエリアの面積と牡蠣筏の数を考えると、約1週間で広島湾の水を全部濾す計算になるとか。山から、川から、瀬戸内海へ。栄養たっぷりの瀬戸内海の水が、牡蠣を立派に育てているんだろうなあ。
第1回 「何年前?」
かきの養殖がはじまったのはいつだと思いますか?100年前?200年前?いえ、今からなんと約450年前にかきの養殖がはじまったと言われています。草津村役場(現在の広島市西区)が大正13年に発行した草津案内に「天文年間(1532〜1555年)安芸国において養殖の法を発明せり」とあります。天文年間とは室町時代末期の頃。それまでおそらく天然の牡蠣を獲っていたのでしょうが「おいしいから、もっと食べたい」みたいな気持ちが働いて養殖方法を考えついたのでしょうか。その頃はどうやって食べていたのかな。生かきをツルッと?それともアツアツの焼き牡蠣?味噌の土手鍋?昔の人が苦労して養殖の歴史を積み重ねてくれたから、今こうやっておいしく食べられるんですよね。感謝。感謝。
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